「モノリスの人々」

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首筋あたりに何か違和感を感じて、思わず触った。 いつもの芽依美じゃない。 「これは、閲覧に制限がある。 生徒が普通に探せるものじゃない」 芽依美は俯きながら訥々と話す。 顔が見えない。 逆光のせいもあり、表情が見えない。 違和感が首筋から背中に移った。 あたしが身体を少し仰け反らすと、 ふっ、と芽依美は顔を上げた。 「まあ、このくらいの本なら、案外簡単に見つかる場所にあったのかな」 芽依美はいつもの悪戯っぽい笑顔を見せた。
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