図書館の怪老人

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「……そして、黒猫さんはあたしに言ったの。『今、教室は大変な事になっている。あなたの友達が勇敢に戦っている。けれど、本当にその大変な事を元に戻すには、アナタの力が必要だ』って。……そして、教室で起きている出来事を“見せ”てくれたの」 遥は、不安で泣きそうな顔を芽依美に向けた。 「芽依美も、文亮くんも大変な目に会ってるのに、あたしは何にも出来ない。『芽依美!』『文亮くん!』って何度も呼んだのに……あたしの声は、届かなかった!」 芽依美は胸がいっぱいになった。 自分たちが戦っている間、遥は応援してくれていたんだ。 心配で、声が涸れる程自分たちの名前を叫んでくれていたんだ。 「はるか……」 「あたし……理解、したよ。あの怪物の事、芽依美や文亮くんの事、学校の事。……今起きている事……そして、これから起きようとしている事……」 「はるか……」 芽依美が手を伸ばすと、遥の顔に触れることが出来た。 遥の温もりが伝わってくる。 遥は、その手に自分の手を重ねた。 「あたしの力を、芽依美にあげる。あたしは力を持っているけど、使い方をまだ知らない。……だから、あたしの力を……芽依美が使って」 温もりが消え、遥の姿も消えた。 芽依美は、自分の意識を超え、深層心理を超え、人類の精神の最奥、集合無意識に辿り着いた。
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