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「何度もテメエとは戦ってるからな。貴様のクセー匂いがプンプンするぜ」
文亮が田中の身体を嗅いだ。
「ちょっと~文亮!田中くんに何してんのよ!」
田中の取り巻きの1人が歩いて来て、文亮の腰の辺りを蹴った。
「いデェ!」
文亮はその勢いのまま田中にぶつかったが、田中は軽く文亮を抱き止めた。
「おっと……大丈夫ですか?文亮クン」
文亮は一瞬後、呆けたように「ああ」とだけ言った。
「じゃ、僕は帰るよ。また明日」
田中は爽やかな笑顔で文亮の肩を叩くと、数人の女子の取り巻きと一緒に教室を出て行った。
「どうしたの。文亮」
文亮は芽依美に声をかけられ、ようやく我に返った。
「……ありゃ、魔力か?それとも」
ボンヤリと田中が出て行った方を眺める文亮に芽依美は冗談で、
「どうした、新しい田中に惚れた?」
芽依美の問いに、文亮は無意識に頷いた。
「ああ。……ちょっと……ヤバいかもな」
その様子を見て、芽依美は深い溜め息をついた。
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