魔道書

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「ラヴクラフト芽依美……」 男子生徒、ノアの表情が歪んだ。 「まさか、あの娘があの時に自分の血を思い出すとはな……」 ノアは机に載せた両手を握りしめて震わせた。 「洗脳は完全でした。しかし、命が尽きかけた時にノーデンスを呼び覚ますとは……」 「黙れ!!!」 来栖の言い訳に、ノアの怒りが形に現れた。 生徒会室が一瞬にして暗闇に包まれる。 来栖はノアの発声で身体が宙に浮いた。 全身の筋肉と骨が悲鳴を上げる。 「その名を呼ぶな、来栖!忌々しきその名を!」 暗闇の中でさえ、ノアの怒りの表情が見えるようだった。 来栖はニャルラトテップから授けられた魔力が吸い取られる感覚を覚えた。 残された自分本来の魔力では、ノアの怒りを受け止める事は出来ないと感じ、来栖は死を覚悟した。
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