オトメユリは枯れない

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「おれ、やおとめひかるってゆーんだ。よろしくな!」 初めて君に声をかけられた時、太陽みたいに眩しい子だと思った。 「…よ、よろしく、ね」 人見知りな俺は、光の勢いに押されぎみだったのを覚えてる。 「きみは?」 「え?」 「なんてゆうの、なまえ!」 「あ、えっと、やぶ、こうた」 「こうた、な!おれのこと、ひかるってよんでくれ!おれもこうたってよぶから!」 にかっ、と、きらきらした笑顔で手を前に突き出す。 その笑顔につられて、俺もにっこり笑って光の手を握り返した、だけなのに、 「…っ!」 「……?どうしたの?」 光は俺の顔を見たまま動かなくなってしまった。目の前で手をひらひらさせてみてもぴくりとも動かない。 俺の顔になんかついてるのかなと思って、空いてる方の手でごしごしこすってもみたけど、光は動かないまま。 え、なんで?目を開けたまま寝ちゃったの?それとも俺の顔が気持ち悪いの? どうしよう、と思って顔を覗き込むと、光はやっと動き出した。 「こうたっ!」 「っ、ひゃいっ!」 覚醒した光が、いきたり大きな声で名前を呼ぶから、変な声がでたんだっけ。 握っていたままの手と、空いていた方の手も一緒に握られ、胸の高さで固定される。 「おおきくなったら、けっこんして!」 「えっ?」 「おれのおよめさんになって!」 「うっ、うん」 ぐっと近づく顔にびっくりして、思わず頷いちゃったけど、後悔はなかった。 「やくそくだからな!」 「うん!」 ――――そんな約束を交わして14年。 俺達は高校生になった。 歳を重ねて、男が男に恋愛感情を抱くのは可笑しいという事は分かったけど。 出会ったあの日から、俺は光が好き。 光が今、俺のことどう思ってんのかは知らないけど。 ねえ、光。 あの約束、まだ覚えてる――――? END なんか書いてて途中から視点が迷子(^p^) 一応、17歳の薮ちゃんが過去を思い出しながらってゆう設定。
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