├其の壱

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止まった。 扉が開くと、ほとんど溶けた人間の残骸が、腕だけ形を残してそこにあった。 レ ア 、だ っ た。 「スミマッセーン、誤作動させちゃいました。」 全く反省の色のない謝罪に、空気が凍り付く。 「急いで冷ましたんで大丈夫ですよ。あ、今、掃除の補充人員なくて、しばらくしたら来るんで片づけといてもらえます?」 「 … … … 」 全員が沈黙した。 そこには、掃除用具だけが損傷せずに残っていて、それがかえって異様である。 固まったまま、誰も動こうとしない。いや、動けない。 「早くしてください、あなた達がモタモタしているせいで時間がないんですよ。」 「 … … … 」
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