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それでも、8人で使うには、充分過ぎる位の広さだった。
掲示板やロッカー等、学校らしい物も、一応揃っている。
そして、やや大きな机が、横4列、縦2行の8つ、皆を待ち構えていた。
皆はそれぞれの席を探し、座る。
ミウの席は一番奥の前だった。
後ろには、あの冷たい目のプラチナブロンドが座り、右には、銀髪の女子。
その後ろに、ヴィヴィ。
ヴィヴィの右前に、歓迎式でヴィヴィに話し掛けられた男子。
ヴィヴィの右隣に、ショート黒髪の青い双眸の女子が座り、ルチルはミウと線対象の、右端の前の席。
その後ろに、刀を持った男子が座った。
その様子を見回しながら、ミウはふと、右に座った銀髪の女子に目が留まる。
恐らく彼女が、噂の銀髪の魔女だろう。
色白な肌に端正な顔立ちだが、表情が全く無いため、人形の様だ。
何よりそれを際だたせて居たのが、彼女の、アメジストの様な不思議な紫色の瞳だった。
色の具合から、カラーコンタクトではなく、生まれつきだろうが、未だかつてこんな色の眼は見たことが無い。
そうして見とれるミウは、教室に入ってきた声に、現実に引き戻される。
「はい、どうも~」
入ってきたのは、長い茶髪を束ねた、物腰柔らかそうな男だった。
すると、その人物に、真っ先に反応した者が居た。
「あれっ!?」
刀を持った男子が、不意に驚いた反応を見せた。
それに、入ってきた男も反応する。
「やぁ、久しぶりロア君! 僕、また君の担任になったみたいだよ?」
どうやら、刀を持った男子は、ロアという名で、入ってきた来た男とは顔見知り。
そして、この男は担任の先生……。
「へ~。またグランなんだ~」
「え……ロア君、呼び捨て……?」
「ちぇっ」
「ちぇって何だっ!」
……なのだろうか、本当に。
「ロア君……一応僕も先生なんだからさ……。親しみやすいと思ってくれるのは有り難いけど……」
額に手を当てて、ため息をつくグランという男。
そこに、ロアが重ねて言う。
「いや、親しみやすいって言うか、アホだから敬意に値しないというか。いや、ごめんなさいね~。心から先生に敬語を使う気になれないんですよ~。あはははは~」
「……」
爽やかな笑顔だが、このロアとかいう男、性格は髪色とは真逆らしい。
入ってきて数秒足らずで、先生の顔は引き攣っていた。
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