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「……はい、気を取り直して……」
と、半ば自分に言い聞かせながら、先生は教卓に着く。
「皆さん、おはようございます。今日から皆さんの担任になります、グラン=ウェーバーです」
と、言いながら、先生は黒板に大きく記す。
グラン=ウェーバーと、カタカナで。
「ぃゃ、カタカナ書く意味無いでしょ!!」
青い双眸の少女が鋭いツッコミを飛ばした。
「あ、そぉ? やっぱり?」
と言い、笑い飛ばし出した先生に、ミウは思わず苦笑いが出る。
「えと、じゃあまずですね。これからクラスメートになる皆さんに、自己紹介をして頂きたいと思います」
それから先生は、ようやくホームルームらしい事を始めた。
「名前と、年齢と、出身地と、何か一言。を、で、す、ね。じゃあ、朝風さんから」
「にゃっ!?」
(いきなりっ!?)
「そこから、後ろ、右前、後ろ、右前と、ジグザグにアイウエオ順になってるので、その順番でよろしく。じゃ、どぞ」
(え、どぞって言われても……)
何の心の準備もしていなかったので、ミウはおどおどと立ち上がる。
一身に視線を浴びるのは、久しぶりだ。
少し緊張する……。
「あ~……えと。朝風ミウ、15歳ですっ! 能力区分『獣人化』のR地区出身です。……一言……えと、よろしくお願いしま~す!」
ミウは言い終えると、会釈を連発しながら急いで座った。
次に、後ろのプラチナブロンドが、優雅に立ち上がる。
「僕は、クライス=アンティア、17歳。能力区分『精霊属性魔法』のM地区の、崇高なるアンティア家の者だ。以後、お見知り置きを」
そしてまた、優雅に座る。
何故だろう。
なんかムカつく。
今の自己紹介も、7割方ヴィヴィに向かって言っていた気がする。
次にスッと立ち上がったのは、銀髪の魔女。
「クレシェ=リフェネ=エネフェルト、17歳、能力区分『ルーン』のD地区の生まれです。私の名前を呼ぶときに、途中で噛んで醜態を晒す可能性が有ることを考慮して、クーちゃんと呼ぶことを許可します。これから同じクラスになる皆さんには、くれぐれも私に迷惑がかからないように振る舞って頂くようにお願い致します」
そしてまた、スッとすわる。
毒のあるトークも、立ち振る舞いも、凄く機械的。
次に、ヴィヴィが立つ。
立ち方も、指先に至るまで美しい。
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