┣新しい毎日┫

9/14
前へ
/345ページ
次へ
「皆さん、はじめまして。黒のヴィヴィと申します。17歳です。最初に自己紹介してくれた、ミウと同じ、R地区の生まれです。これから数年間、皆様となるべく早く打ち解け、良い思い出が作れる事を、願っております。気兼ねなく話し掛けて下さいね」  言い終えた彼女は、深く一礼し、また美しく座った。  そして、順番は右前に移る。  黒髪の男子が立ち上がる。 「えと、俺は、鈴木大輔、16歳です。俺もM地区出身です。どうぞよろしく」  それだけ言うと、彼は座った。 「……全く……僕と同じM地区が、寄りによって奴だなんて……」  その時ミウは、クライスが小さく吐き捨てたのが聞こえた。 「はいっ、では! 私は、マリン・フォルド、15歳です! 出身は、『現象属性魔法』のW地区! 皆、よろしくねっ!」  勢い良く立ち上がり、勢い良く座る、青い双眸の少女、マリン。  そんな感じだから、次のルチルとのギャップが凄まじい。  彼は、机に伏したまま、僅かに顔を上げる。 「え~……ルチル=ロッティ、16歳。そこの、マシンガントーク女と同じ出身。以上……」  クレシェを指差して言った後、また伏す。  全くやる気が感じられない……。  そもそも、立たないし、この男。  そして、最後に、刀を持つ男子が立つ。 「僕は、ロア=ソーマ、15歳です。出身は、『魔導体術』のH地区。よろしくお願いしま~す。ちなみに、先生っぽいのも、残念ながら僕と同じ出身なんですよ」 「おーいロア君。ぽいのつけるな~。それに、残念ながらって何」  引き攣った笑顔でツッコむ先生っぽいのを完全に無視して、ロアは座った。 「はい、それじゃ、これで皆、自己紹介は終了。この後は、色々配って、今日は解散になります。先生は配布物を取りに、一旦職員室に戻るので、その間、お互いの友好を深めるでも何でも、好きに使ってて下さい。では~」  そう言い残し、先生は教室を出て行った。  では、お言葉に甘えて。 「……綺麗な眼ですね!」  隣のクレシェ=フェ……えと……クーちゃんに、話し掛けてみる。 「! 私ですか? 朝風ミウ?」  表情を全く変えずに、首を傾げた。  ルチルといい、彼女といい、D地区の人は基本的に無表情なのだろうか。
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加