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「うんうん! クーちゃんだよっ! 紫の眼って初めて見たよ~。ね、カラコンじゃないんだよね!?」
「……カラコンではないですね。というか、話し始めて2言目で、いきなりタメ口ですか? 仮にも私は貴女の2つ年上なのですから、普通はもう少し敬うべきなのではありませんか? といっても、貴女のその雰囲気を察するに、誰彼かまわずとりあえず馴れ馴れしく接して居るようですね。躊躇いが感じられません。しかしながら、この学園という、年齢の概念が有って無いような環境下では、そうなるのも無理は無いでしょう。それに加え、私の眼を純粋に誉めた事、並びに、真っ先に私に話し掛け、迷わずクーちゃんと呼んだ事を考慮すると、貴女が友好的な姿勢で有ることは明白です。よって、貴女はタメ口でも良いことにします。ルチル=ロッティ以外に会話する相手が皆無というのも、数年に渡る学園生活においては、デメリット以外の何物でもありませんから、得意では有りませんが、友達作りという行為の礎として、まずは貴女と友好的にしておきます、朝風ミウ」
(ぅおおぉぉぉ、意外とめっちゃ喋る~この人っ!!)
完全に不意を付かれ、思わず顔がにやけそうになる。
マシンガントーク女……なるほど。
「ところで朝風ミウ。貴女は苗字がある、ということは、R地区の本家の人間ではないのですか?」
唐突な、問いに含まれる、聞き慣れた単語。
「!? クーちゃん、R地区の事知ってるの?」
自分の出身地区の事を知ってくれている。
それだけで、少し嬉しいが、同時に、少し怖い……。
「はい。以前、本で読んだ事が有ります。
R地区には、『獣人化』の特殊能力者の祖となる、黒、紅、蒼、翠、白の5大本家が有るそうですね。R地区の全ての特殊能力者は、そのどれかの家の血を引く者だとか。そして、家によって、変化する獣の姿は違うそうですね。確か、黒と白は鳥の姿。紅は猫の姿。蒼は犬の姿。翠は、狐や狸、熊といった、その他の獣の姿。そして、本家に生まれた者の中で、完全な獣の姿と変身出来る者が、それぞれの家の名を継ぎ、次期頭首となる、と。そして、それ以外は本家の色の姓を剥奪され、代わりの姓が与えられる。
……つまり、私の後ろに座るヴィヴィという女性は、黒の家の次期頭首、という事ですね? それはつまり、よく言うお家騒動という奴の、渦中に居るということ……。貴女は、どうなのですか?」
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