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「……おぉ~、すごい。パーフェクト!
そう! ヴィヴィは黒の家の未来を担うご令嬢ってわけ!」
ミウは笑顔で言った。
答えたくない問いから、逃げる様に……。
だが、残念な事に、クレシェは知っていた。
R地区の闇の部分を……。
「いつの時代も、次期頭首……後継者というものは、その命を狙われる物です。黒のヴィヴィも、暗殺の脅威に晒されながら生きてきたのでしょう。……しかし、不可解な事に、彼女には護衛が居ません。
私が読んだ本には、後継者には必ず、兄弟や従兄弟といった、親以外の最も近い血縁の物が、生涯護衛としてつくと書いてありましたが……」
クレシェはそこで口を噤んだ。
もうこれ以上の追及は必要無いと判断したのだろう。
そこまで知っているのなら、もう察しもついて居るのだろう。
なら、隠す意味もない。
ミウは、表情を曇らせる。
R地区の闇の部分を語るには、笑顔では居られない。
他人ごとでは無いのだから……。
「ホント……クーちゃん良く知ってるね……。
……ミウのお姉ちゃんも、紅の家の後継者なんだよね……。確かに、後継者の兄弟姉妹は、その後継者を守護する武器となるのが運命……。だから、ミウもお姉ちゃんを護る為に、色々やったよ……」
そう言って、ミウは自分の、色々やってきた手に視線を落とす。
(死神猫……強ち間違いじゃないかな……)
「本来なら、ミウはお姉ちゃんの守護者として、傍に居なきゃいけない。けど、やっぱり学園に通わなきゃいけない。で、どうするかって事で、R地区の5大本家は、学園も交えて、ある取り決めをしたの……」
「ある取り決め?」
「うん……。全部で3つ。
1、学園替えの際は、本家の後継者と、その後継者、ないし、他家の守護者を、必ず一組とし、それ以外のR地区の者と交えないこと。
2、後継者が他家の守護者と同じ学園になった場合、守護者はその後継者を全力で守護すること。
3、その際、後継者が死んだ場合、死なせた守護者の家の後継者を、即刻殺すこと。
……だから、ミウはヴィヴィを全力で護らなきゃならない。ヴィヴィが死んだら、お姉ちゃんが殺されるから。聞いた話しだと、今お姉ちゃんを守護してるのは、黒月レイっていう、ヴィヴィのお兄ちゃん。紅と黒の交換だね」
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