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抱き付くミウの頭を、優しく撫でるヴィヴィ。
まるで姉妹の様だ。
「フフフ……。私も、知り合いが居て良かったわ。またよろしくね、キャット」
「にゃ~」
「さ、キャット。講堂に入りましょう?」
「にゃ」
ミウは首肯すると、ヴィヴィと共に講堂に足を踏み入れた。
講堂には数人のスタッフが居り、彼等に案内された先には、横に一直線に並んだ8つの椅子と、それに向き合う演説台。
そして、演説台の背後に、F学園歓迎式の文字。
席は自由らしいので、好きな場所に座るように、とのこと。
さて、何処に座ろうか。
既に、演説台に向かって右から2番目に、長い銀髪の女子。
左から3番目に、黒髪の男子が座っていた。
すると、ヴィヴィがその男子に話し掛ける。
「あの、お隣宜しいですか?」
「えっ……」
その男子は、ヴィヴィを見た瞬間、固まった。
黒髪で、特にイケメンというわけではなく、かと言って、不細工でもない。
そのぼーっとした表情を見るに、恐らくヴィヴィに見とれているのだろう。
「あの?」
「あ、あ、いやいやいやっ、どうぞどうぞどうぞ」
ヴィヴィが首を傾げると、彼は真っ赤になりながら我に返り、慌てて答えた。
とりあえず座って良いということなので、ミウが一番左端、ヴィヴィがその隣に座る。
「……そーいえば、街の人が噂してた、黒い翼の女神って、ヴィヴィの事だったんだね」
「? 黒い翼の女神?」
「そ。めちゃくちゃ美人で通ってたよ」
「あら……。そんな……。キャットは何か、通り名付いてた?」
「死神猫、だってさ」
「あらま……」
「でも、物騒な通り名だけど、めちゃくちゃ可愛いで通ってたね。いぇい」
「まぁ! 良かったわね……」
……などと、雑談しながら時間を潰す。
そうしている内に、続々と他の生徒達が集まりだしていた。
黒いショートヘアで、青い双眸の女子。
銀髪で、一振りの刀を手にした男子。
プラチナブロンドの髪で容姿端麗だが、どこか見下した様な冷ややかな目の男子。
そして最後に、肩を揺らしながら、10分遅れて入ってきた、茶髪のだらしない服装の、チンピラのような男子。
8席全てが埋まった所で、歓迎式は幕を上げた。
アナウンスの後、学園長と紹介された人物のお話しが始まる。
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