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「この度は、新12年生の皆様、ようこそ、F学園へ……」
「……では、この後、当学園の案内の後に、教室にて、ホームルームとなります。ようこそ、F学園へ」
そして、学園長が退場し、8人は案内係の後に続くように指示された。
「……んだよ。式っつー割には、話し聞いて終わりじゃねぇか」
移動の最中、隣で茶髪のチンピラもどきがボヤいたのが聞こえた。
「確かにねー。ちょっと拍子抜けだよね」
「!」
ミウが言うと、彼は思わぬ賛同の声に意表を突かれたのか、目を円くする。
それから、訝しげに眉をしかめた。
「……話しかけるなよ的な空気だった?」
「いや、そんな事はねぇけど」
ミウの問いに、気怠そうではあるが、きちんと答えるチンピラもどき。
風貌の割には、しっかりしている気がする。
「……ただ、俺みたいのに普通に話し掛けて来る物好きも居たもんだな、とな」
「物好き……ってゆーか、これからクラスメートだしね。それに、茶髪仲間だし」
「……」
微笑み掛けたミウに、彼は無表情で鼻をならして応えた。
「朝風ミウっての。よろしくねっ」
「……ルチル=ロッティだ。ところで、あの長ぇ黒髪の、えれぇ美人のねーちゃん、お前のツレか?」
ルチルは終始、表情を変えるのも面倒だと言わんばかりに、気怠そうな無表情を貫く。
「ヴィヴィのこと?」
「名前は知らねぇけど、何か変なのに絡まれてるぞ?」
「へ?」
言われて、ルチルの視線の先を見ると、ヴィヴィが先程の冷たい目のプラチナブロンドの男子に、話しかけられていた。
絡まれてる、とルチルが表現したのは、ヴィヴィが男子を適当にあしらっているように見えるのが原因だろう。
「あ~……多分、大丈夫でしょ」
「そうか」
苦笑いを浮かべたミウに、ルチルは再び鼻を鳴らした。
その時、案内係が皆を止める。
そして、施設の案内が始まった。
「……最後に、ここが皆さんが普段、授業を受ける教室です。では、これにて、学園の案内は終了となります。この後、この教室で、担任の先生がホームルームを始めますので、各自、自分の名前の札が有る席に着いて、待機していて下さい」
その指示に従い、皆は教室に入る。
流石に、数人しか生徒が居ない学園の教室が、広い訳がなかった。
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