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「やっと思い出したか、馬鹿」
『いやいやいや!!!早く祠へ行かないといけないんで、離してくれますよね?金髪さん』
「名前が違う」
すると紅突は『うぅ…』と少し躊躇いながらも 兄さん と、か細く言った。
「名前、聞こえない」
『あー…有矢兄さん!!!早く!!!』
金髪青年、有矢は「やりゃできるじゃん」と言い、頭をくしゃっと撫でてから紅突を離した。
『どーも、兄さん?』
「…(語尾がおかしい)」
腕の中から解放された紅突は、祠へと足を急がせた。
-同時刻-
街では竜次と名前の知らない神様がまだ顔を会わせていた。
2人共まるで静止画のように固まっていた。
すると2人の遥か遠くから、「じ、事件だーーっ」と言う声が、街に響いた。
「事件やて?!そないもんは久しぶりやなー…今回は何やろ?」
「何故、そんなに楽しそうなのですか?」
「楽しそうに見えるん?」
「えぇ、とても」
竜次が「それは…」と言いかけたその時、大地が雄叫びをあげ始めた。
地が張り裂けそうなくらいの轟音を響かせ、鼓膜がおかしくなりそうな程の音が辺りを支配していく。
その中で、竜次は嬉しそうに、そして楽しそうに歪んだ笑顔で空を見上げた。
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