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「そうかそうか…兄ちゃんか……って、嘘やろーーー!!!」
周りにいる人達、そして目の前に神様が目を丸くした。
「…ど、どうやら本当に知らなかったようですね」
「紅突は一人っ子やで?神様?」
竜次はハハハと苦笑しながら、自分の知ってる紅突を保とうとする。
「いや、知らなくて当然…ですね。そんなに驚かなくてもよろしいですよ、竜次さん」
「知らなくて当然て、何や?どういうことや?俺は…紅突の何を知っとるんや…?」
頭の思考回廊が停止寸前の竜次に、神様は微笑んだ―。
【森の獣道】
紅突は疲れたので、全速力で走るのを止めて森の中を歩いていた。
『随分と深くまで来たなぁ…森の祠は……あっちか!!』
紅突が歩いているのは、ご丁寧な標識も無ければ、綺麗に塗装された道路でもない、獣道。
そんな獣道の中を直感で進んでいく、紅突。
『竜次、まだ怒ってるのかな…?
い、いやいやいや!!!竜次は天災を馬鹿にしたんだ!!当然の如し』
歩みを止めた紅突が、自分を納得させる様に呟いた。
止まった景色の一面には
木、木、木、木、人影…
紅突は景色の中に居る、不慣れな人影をゆっくりと見た。
『誰?』
「………。」
『………。』
人影は金髪で長身の青年で在ることが分かり、また紅突は問い掛けた。
『綺麗な色の金髪さん?あなたは誰?』
すると金髪は低く悲しそうな声で「金髪…か」と力無く呟き、一歩一歩近づいてきた。
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