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「金髪とは、随分な言いようだな…紅突」
柔らかな風が吹き抜ける森の中に溶け込むように鮮やかな金色をたなびかせている、その青年は 笑った。
『名前…間違ってませんね?凄い!!!初めてエスパーという人に会いましたっ』
「金髪の次は、エスパー…か」
どこか遠い所を見ていた青年は、いつの間にか1人で騒いでいる紅突に寄り、包み込むように抱き締めた。
『…何してるんですか?』
1人状況がのみ込めず、ただただ口をあんぐりと開けている紅突。
そんな紅突だったが、次第に顔中に散らばっていたハテナマークが消えてきていた。
『なんか…懐かしい、な』
青年の胸に顔を埋めながら紅突は聞こえないくらい小さな声で呟いた。
すると抱き締めていた青年の顔が、紅突の小さな耳元へと移動した。
「なぁ、紅突。懐かしい…と思ってくれたか?そろそろ名前、思い出してくれただろ?」
『くすぐったい!!!うあた!!』
紅突はくすぐりに弱い。
変な声をすぐに発してしまうのが、癖である。
「うあたって何だよ?」
『あ、あ りや…有矢兄さん…とかなんちゃってー。あはははは』
青年,有矢に抱き締められている腕の中で、紅突は誤魔化すように精一杯…
笑った。
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