†零話†

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「ッ、!」 ガバッ! …また、懐かしい夢を見たな。 「…ハァ、」 布団から起き上がって溜め息を吐くと襖を開けて廊下に出た。 「…気味が悪い、か。」 庭に咲く垂れ桜が月光を浴びながら風に吹かれる。 「…お前は綺麗だな。 私と違って、‥汚れなどなく、」 タンッ 廊下から庭に出ると少し離れていた桜に近づいた。 《ナニヲイッテイルノ? イロハノホウガトテモトテモキレイダヨ?》 「…ありがとう、」 小さく桜に微笑んだ。 《イロハハイツモカナシソウダネ、 ソンナニニンゲンガキライ?》 「…ううん、嫌いじゃない。 ただ、」 怖いんだ、 垂れ桜に小さくそう言った。 .
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