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「最近の女子って可愛いこ増えたよな、〇クシーでいろんな女子見るけど標準上がってる気がする」
新谷は携帯をいじりながら、そう呟いた。
「でもさ、それプリでってことだろ、実際ただケバいのが増えたんじゃね?」
俺の姉貴が良い例だ。
風呂上がりと出掛ける前では、弟の俺でも見間違えたんじゃないかと思うくらい顔が違う。
はっきり言えば可愛くない、いやむしろ可愛いとか可愛くないの問題じゃない気がする。
時刻は6時に迫ろうとしていた。夕焼けが埃っぽい教室に射し込む。せわしなくキーを打つ新谷の手の下に、伸びた影が落ちている。俺はそれをボンヤリと見つめていた。
「てかさ、早く行こうぜ、お前んチ。腹へってきたし」
あまりにも夢中な新谷に少し嫌な気分がして、俺は急かすように話しかけた。
「ああ、だな。」
区切りを着けた新谷がパコンと携帯を閉じ、立ち上がる。
今日、俺は新谷の家に泊まりに行く予定だ。
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