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――要はアレだ。
俺は今、カツアゲをされている。
このいたいけな風貌の少年に、いい歳の大人達が金をたかるたぁ世も末。
しかし――ここではあらゆる犯罪が法の審判に問われねぇ。
警察なんて機関は存在しねぇ……。むしろ警察が襲われて金を奪われる位危ねぇ。危険すぎる。
ここでは人を殺そうが、盗もうが一向に構わねぇ犯罪の聖地なのだから。
俺が「この人殺しめ」など、金髪マッチョを責めることは出来ねぇんだ。
俺だって世間じゃ青春真っ盛りの十八歳の筈なのに、両手の指じゃ足りねぇほどの人間を殺してる。
あくまでも手を出してきた奴に限るし、懲らしめる程度に抑えている。
それでも殺した――というのはその後に起こった不慮な事故や他の奴等にやられた……という類だけだ。
そこら辺の猟奇的殺人者と一緒にしねぇで欲しい――と言いてぇだけだぜ。
しっかし、この生存競争の厳しい環境じゃ、生易しいこと言ってられねぇのが現状。
「そんな奴にはなりたくねぇ」と、俺は人を故意的に殺しはしねぇと決めてる。
家の大黒柱として、本来家族を守る存在の親父は、ニルなんとかって機関に属しててここにはいねぇ。
母さんは三年前にベネア内戦に巻き込まれて命を落としてる。
俺がまだ十歳の頃には、兄貴と姉貴はとっくにこの街から出ていった。
兄貴は笑顔で俺の頭を撫でながら言った記憶がある。
「俺達はやることがある! このちっぽけな国はもううんざりだからな。もっと広い世界を見てくるぜ!」
別れ際のセリフは何故格好つけたがるのか。
分かりやすく説明してもらいてぇものだ。
妙に印象的な言葉のお陰で、片時も忘れずに今に至る。
仕事して、不良に囲まれ、逃げ、家に帰るっつう変なローテーションの中で生きる毎日。
退屈はしねぇが……一般人が望むようなことじゃねぇと、俺は思う。
――親父よ。一言言わせてくれ。
この地獄の掃き溜めみたいな場所に、幼き息子を一人で置いていくか普通?
強くなるため? やかましいぜ。
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