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俺の作戦は完璧だったが、一部予想外の事態が発生!
近くで見ていたグラサンスキンヘッズが顔を怒りに震わせ、釘付き棍棒を引きずってきたのだ!
「ほぅ? この金髪の二の舞になりてぇようだな。そんなに無様に地面にキスしてぇか。あとそのグラサン似合ってねぇよ。実のところ安物だろ。値札付きじゃねぇの? 八十%引きの」
だーッ!! 違う違う違う! こんな挑発的な事言ってどうすんだよ!? 馬鹿なのか俺は! 殺してくだせぇ、って言ってるようなもんだろ!
心の中で悶えても時既に遅し。
自分を殴り飛ばしたい一心だが、ニ、三人は確実に手で葬っているであろうそのスキンヘッズはプルプルと震えていた。
いやコレ絶対キレてるじゃん! 多人数でよってたかってボコられるの目に見えてんじゃん!
「う……う……」
ほぅら言わんこっちゃねぇ。体から湧き上がる怒りで肩まで震えてるようだ。
いかん……地雷踏んだか? と思っていたら、スキンヘッズはダボダボな長袖で目の辺りを急に拭いだしたのだった。
「うう……このグラサンは死んだ親父の形見なんだよぉ、畜生が……ひっく」
(泣いていらっしゃったーッ!! 何? 親父さんの形見だァ? 見た目にそぐわず家族思いだったんだな……ううっ、泣けてきちゃう――)
「――って泣けるかァッ!! 思い出と共に散れいッ!」
「ドゥワフッ!!」
まさに泣きっ面に蜂。
いや、泣きっ面に踵か。
奴の顔面を右足の踵で容赦なく蹴り上げる。
スキンヘッズの親父の形見と涙と共に、奴の意識は砕け散る!
「可哀想だの卑怯だのなんて感情は、てめぇなんぞには一片たりとも感じねぇわ! いい歳した大の大人がメソメソ、こっちが恥ずかしいぜ!」
すると周りの不良共がブーブーと文句を垂れ始めたのである。
「てめーきたねぇぞ! 泣いてる奴になんてことを!」
「この世界に卑怯だの律儀など、ありもしねぇことをべちゃくちゃうるせぇな蠅が! こっちは一対十だぜ? それこそ卑怯じゃねぇか! そうか! そうですか! てめぇらのその行動は正当なのか! なんとか答えてみやがれド畜生が!」
俺達の置かれているこの状況。涙は禁物、隙あらばやられる世界!
甘めぇよ、甘めぇ、甘過ぎる!
雑魚の部類に入る俺が弱かろうが勝つ手段は無数にあるのさ!
命掛かってるからよ、汚かろうが酷かろうが知ったことか。
そうまでしても生き残りたいんだよねぇ、俺って奴は!
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