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さて、どれほど自分が落ちこぼれであるかが再確認できたわけだが……かなり虚しい。
ここ日本は世界でもトップレベルの科学技術を有していて、特に俺の住む東京は埼玉、神奈川を巻き込んで最先端技術で溢れた超巨大都市に成長した。
これも先人の知恵と汗の結晶であるわけで、そんなところで暮らす俺は魔法を使わずとも十分すぎるほど満足な生活を送れている。
だから、特に気に病む必要もないと自分に言い聞かせてみたり……
そんな事よりも折角授業も終わり自由になったわけだが、予定がないのは辛い。
普段なら友達と遊んだりするが、今日に限って皆予定があるらしく、俺はこうして暇をもて余している。
「マジでどうするかなぁ」
もう一度呟くが、なにも変わらない。
わかってはいるが、暇ってどうしようもないよな。
欠伸をしながら賑やかな駅前通りから住宅街に向かう路地を曲がったところで俺は足を止めた。
俺の目の前に背まで伸びた栗色の髪の女の子が道のど真ん中で腰を屈ませて困っているようだった。
女の子と言っても、俺の通う高校制服を着ているわけだら少なからず歳は近いハズだが。
とりあえず、声をかけてみることにする。
別にナンパじゃない。困っている人を見過ごせないタチなだけだ。
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