EP1・マジックキャンセラー

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 作業開始から数十秒、コンタクトを簡単に見つけることができた。 「あったよ」  俺はコンタクトを拾い、そのまま橋本さんに渡した。 「ありがとう、神谷くん」  受け取った彼女は、満面の笑みを向けてくれる。  それに思わずドキッとしてしまう俺。  反則的に可愛く、眩しい笑顔だ。これでは学校の男どもが放っておかないのも頷ける。 「いいって、でも見つかってよかったな」 「うん! これも神谷くんのおかげだよ! ホントありがとっ」 「んじゃ、俺はこれで。気を付けて帰ってな」 「うん、じゃ私も急ぐからこれで。また明日学校で会おうね。バイバイ」  橋本さんはそう手を振って駅前通りの方に駆けていく。  途中何度か振り返っては手を振ってくれはいるが……  俺は重大なことに気がついた。  彼女は今、車の通りが多い駅前に向かっては振り返っている。  それだけならまだいいが、彼女は今コンタクトが外れて視力が低下している。  笑顔で手を振る彼女はきっと気づいていない。  迫っている車の影に!  俺は次の瞬間走り出した。  こんな時、空間移動(テレポート)の能力が使えたらこんなに慌てなかっただろう。  こういういざという時に自分の未熟さを実感する。
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