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響くクラクション。
アスファルトを擦るタイヤのブレーキ音。
俺は神経を走ることに集中させた。
ようやく自分のおかれた状況を理解して硬直している橋本さん。
絶対何がなんでも助ける!
これ以上、俺は誰かがいなくなるのを……
ガンッッッ!!
鈍い金属音……
通行人の悲鳴……
俺は……
橋本さんをギリギリのところで助けることができた。
まさに間一髪……紙一重……
そんな単語が適切だろう。
車に撥ね飛ばされたのは橋本さんのカバン。
真新しいカバンは無惨にも中身を盛大にぶちまけ、車道のあちこちに飛散していた。
でもよかった……彼女を救うことができた……
「か、かみ……や……くん?」
「ハァ……ハァ……無事で……よかった」
彼女の無事を確認して、俺はそこでようやく自分たちのどんな体勢であるかを理解した。
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