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「分かりました・・・私は一年の伊藤詩織です。これから仲良くしてくださいね。」
詩織と名乗った少女は最後に笑顔を残して去って行った。
そうして姿が見えなくなってから湊は地面に倒れるように手を着いた。
「何とかなった・・・。」
小さく呟いた湊の言葉に反応する声があった。
「何が何とかなった・・・だよ、これで何人目だよ?」
声のする方に目を向けるとそこには四人の生徒がこちらを見ていた。
「覗きとは随分悪趣味だなお前等・・・」
湊は呆れながら立ち上がり、生徒たちの方に向き直った。
「おやおや、勝手に決め付けるのは良くないぞ?・・・玖流少年。」
そう言って不敵な笑みを浮かべたのは、先程新歓会で知り合った上杉蒼真(うえすぎそうま)。
「じゃあお前の後ろに隠して撮ってるカメラは何なんだ?」
指差した場所は、湊からでは見えないが蒼真が何かを持っているのは確かだった。
「・・・もういい加減諦めて出しなさいよ。」
蒼真の横で呆れながら言い宥めているのは棗穂乃華(なつめほのか)。
彼女もまた新歓会で蒼真と共に知り合った一人だ。
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