50人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
「止めても無駄よ。蒼真はこうなると誰の言う事も聞かなくなるから。」
そう穂乃華が言っている間に蒼真は駆け出していた。
「は~~はっは~。流石オレの許婚、分かっているじゃないか~。」
そう言って蒼真は一足先に体育館裏から何処かへ行ってしまった。
「・・・許婚?」
去り際に残した言葉を遥が呟いた。
「お互いの親同士が勝手に決めた事よ。実際私達そんな関係じゃないし。」
素っ気なく遥の問いに穂乃華が答えると一人先に歩を進める。
「そんな事よりも早く私達のクラス確認するんじゃないの?」
遥は思い出したかのように穂乃華の後を追い掛ける。
湊も二人の後を追い掛けようとしたとき
「お前は・・・」
諒に呼び止められた。
振り返ると、何時もの爽やかな笑顔とは裏腹に真剣な表情が見て取れた。
「・・・本当にそれで良かったのか?」
「それって・・・告白の事か、告白ならこれが初めてじゃないだろ。」
諒は湊から思っていた答えが返ってこなかったからか、小さく溜め息をついた。
「悪い、何でもない。・・・忘れてくれ。」
「何でもないって、お前・・・」
最初のコメントを投稿しよう!