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「稲葉さん、防戦一方ですね先輩」
「まぁ、同じ炎の妖術だけどキツネちゃんの狐火と火貂の火炎車
基本的に術のランクが違うからね」
そう言って先輩は火の粉を避ける為の暗幕を被り直した。
「火炎車は炎術系統の高位妖術、狐火は妖孤族固有の術
だけど術的には中位妖術、だから勝つのは難しいわけよ」
目の前で繰り広げられている戦いの分析をしている先輩。
確かに先輩の指摘通り、キツネさんが放っている狐火は火貂には届かず火炎車の中に消えていた。
その状況よりも僕はキツネさんの方が心配だった。
狐火の連発と火炎車の回避運動とかなり体力を使っている
それを示すようにキツネさんの額には汗が浮かび、息も切れ始めていた。
でも、どんなに心配にしても今の僕じゃ何も出来ない、行っても足手まといになるのはさっきキツネさんに助けてもらった時点で実証済みだから。
「キツネちゃん、何も火貂に合わせる事はないんよ」
「え……!?」
火炎車をジャンプして避け、僕達が隠れている茂みの近くに着地した。
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