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「別にキツネちゃんはそれしか術がない訳ないでしょ?」
先輩がヒントを与えるような口ぶりで話すとキツネさんの表情がぱあっと明るくなった。
「稲葉さん!!」
急に黒崎の声がしたかと思うとキツネさんに向かって火球が迫っていた。
今までならジャンプやステップで避けていた。
でも今、キツネさんがいる位置は火貂と僕達の間
つまり、避ければ僕達が丸焦げになる。
「やっばいっ!!」
この状況にさすがの先輩も焦った声を上げた。
「って先輩、僕を縦にするのは」
「なら僕も」
そう言って黒崎も身体を丸めて僕の影に潜んだ。
「って辞めろぉぉっ!!」
思いっ切り叫んで影に隠れている二人を引っ張り出そうとした。
その時、不意に僕の頬を一陣の風が触れた
そして次にはその風が束となって僕の前に集まっていく。
もちろん風の集束地の中心には檸檬色のしっぽを躍らしているキツネさんがいた。
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