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黒崎が『了解です』と答えると二人は校門の方角に向けて走っていた。
まだ言い足りない事だらけだったが、先輩の言葉でようやく我に返った。
そして地面に座り込んでいるキツネさんの所に駆け寄った。
「キツネさん、大丈夫!?」
「うん、ちょっと疲れただけ……それより一士は大丈夫?」
戦っていた人に心配されるのは申し訳ない位に僕は無事
被害はシャツが焦げた程度。
状態で言えば僕よりもキツネさんの方が酷い
制服は所々焼け焦げて、膝や太ももにはうっすら血が滲んでいる。
そんな状態にも関わらず、僕を心配してくれるキツネさんに僕は心を打たれた。
「はい」
「え?」
いきなりしゃがみ込んで背中を差し出した僕にキツネさんが疑問符を浮かべていた。
「傷だらけのキツネさんにこれ以上、無理はさせられない
というか、僕がしてほしくないから」
顔が熱くなるのが分かったけど、今はキツネさんに見られてないからいい。
「い、いいの?」
「うん」
「私、重い……かも」
「大丈夫」
遠慮の門言が幾つか飛んできたけど、僕はそれを全て『大丈夫だ、問題ない』と切った。
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