少なくともジャンルはミステリーではない

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「カット!!OKだ!!」 監督の声が鳴り響く。 「お疲れ様でした、白橋さん」 みんなが拍手をしてくれた。 「遂に……終わっちゃったんですね、映画『沢田小説の苦悩』の撮影は……」 「ああ……今までで最高の演技だったよ、白橋」 隣には有名俳優、坂田兼好が立っていた。 「ありがとうございますっ坂田さん! それに、監督、他のみなさん。 みなさんのおかげで、私はこうして主役を演じることが出来ました。 本当に、本当にありがとうございました!」 そう言った私の目には、うっすらと涙が溜まっていた。 これが有名女優、白橋 灯(しらはし あかり)の初主演作であった。 今では、私もおばあちゃん。 孫にあげているのは、もちろん、ヴェルタース・オリジナル。 何故なら彼もまた、特別な存在だからです。
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