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虚脱感。光。体内に侵入した…あたたかい力。いや、体温。
一言じゃ済まされないなにかが一瞬で俺を支配した。
そして『見た』映像は。
あ…しゅ…?
急速に、現実を見る。
急激に、体温が戻る。
乖離しかかった、空っぽだった肉体が、生まれて初めて意味を成した感触。
そして悟る。
「アッシュが………アッシュが……死んだ…!?」
信じたくない。
約束したから。
約束したから。
約束したから。
死ぬなんて許さないって。
…悲しむんだ。
ナタリアも。俺も。
――皆も。
約束してやるから早く行け!
剣を交えなければならなかったけどやっと。
――やっとわかり合えたと思ってたのに。
お前の場所はここにあるって、証明したかった。
俺の場所を、皆に教えて貰った様に。
そしてお前も、一人の人間なんだって事を……。
でも、わかるんだ。
俺の中には…確かに温もりがある。
被験者の、
…アッシュの温もりが。
約束を、果たそう。
あいつは敵集を、命を賭けて食い止めて、
存在を賭けて、世界を護った。
再会する事はなかったけど、あいつは約束を果たしたんだ。
そして今も、
俺達と共に歩いてる。
後は俺達が、
師匠を倒して。
俺が、
ローレライを解放するだけ。
亡くなった人々が愛した世界を
アッシュが愛した世界を
俺達が愛した世界を
俺達が生きた世界を護る為に。
さあ。
約束を果たそう。
例え、
消えゆく存在だとしても。
皆と生きてきた証を。
俺が一人の人間として生きた、証を。
……そして。
俺に命を与えてくれたアッシュが、
確かに存在していた証を、刻む為に。
なあ、アッシュ。
俺に、こんな幸せな時間と命をくれたのは、
――紛れも無い。
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