月の声

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「お前の家に…父親に話しに行くから」 「…なにを?」 「今は別れることを条件に、卒業までお前が学校にいれることと、これからの俺達のことだよ」 呆然としている表情を見て、先生は何かに気付いたのか、ため息混じりに話した。 「お前、学校やめろって言われただろ?」 「うん。でも、ゆりちゃんの家には行かない」 叔母の所へは学校の事情とは関係なく、行かないと決めたことを母に話したと先生に言った。 体育館に父が来た時のことと、父のせいで先生に忘れろと言われたことを思い出す。 「お父さんと、何を話したの?」 「退学させるって言われたんだよ。お前、俺とのことは何も言われてないの?」 放課後、三階の教室にいる時に父から学校に電話があったことを先生は話した。 先生の家に行くって言った日… だから会えなかったんだ。 それに叔母の家に行くことになれば、父にとって都合の良い口実になったのかもしれない。
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