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支離滅裂なことを泣きながら必死に訴えられ、先生は戸惑っていた。
どういう理由にしろ、自分にとって先生がいなくなることは最大の恐怖だった。
「なんでっ!? 好きなのにどうして離れないといけないのっ?」
「なにが、そんなに不安なんだよ」
先生が…いなくなることだよ。
先生の困惑した表情を見て我に返ると、僅かでも平静さを取り戻そうと自分に言い聞かせた。
思わずため息がもれ、続けて感じたままに思ったことが口を衝いて出た。
「それだったら初めから…
先生なんかと出逢わなければ良かった…」
「………」
沈黙が訪れ…自分の失言に気付いた時には、すでに先生は部屋から出て行った後だった。
布団の上に座った状態で、身動き一つせずに静止したままドアを見つめる。
追いかけようと思って勢いよく膝をつくと、布団に潜りこんでいた携帯を思い切り踏みつけた。
痛さに声も出ず、膝を抱えると静かに涙がこぼれ落ちた。
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