月の声

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-----葉川 遼 話をしたところで、すぐにわかってもらえるとは当然思っていなかった。 気持ちを聞ける良い機会だったし、これからのことを話し合おうと考えていた。 自動販売機の前で立ち止まる。 金…持って来てねぇじゃん 携帯も忘れて来た… エレベーターで一階まで降り、フロントに立つ女の元へ向かった。 「高瀬は?」 「えっと…ただいま宴会の…ご用件お聞きしましょうか?」 「じゃあ、金貸して」 「あの…それは…」 女を無視してエレベーターへ戻ると、五階で降りて高瀬を探す。 団体客の宴会の用意に忙しそうな雰囲気を感じながら、従業員用のドアを開けた。 日本茶? …中国茶? 英語…読めねぇじゃん なんだよ、これ… 目の前に並べられた数種類の茶葉を見つめ、適当に手に取ると、ポットへ入れた。
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