行路

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確実に茶葉以外の物が入ってたし、恐ろしくて飲めなかったけど嬉しかった。 忘れてたなんて言ってるけど、先生が自らビールを一滴も飲まなかったこと…私は気付いていた。 「先生、優しいよね…ありがとう」 「俺…優しいの? お前いつも襲われてんじゃん、俺に」 笑って話す先生の横顔を見る。 今まで先生が愛した人は簡単に見抜けるような人だったのかな? 先生、私以外に… どんな恋愛をしてきたんだろう… 「先生って…今まで何人くらいの女の人…本気で好きになった?」 「その話…聞いておもしろいの?」 私だって男を好きになったのは先生が初めてじゃない… 手を伸ばさなくても触れられる距離にいる。 それなのに胸が締め付けられるような、この感覚はなんなの? 「もう…私以外の人、好きにならないでね」 「お前みたいな女…他にいないよ」 もうこれ以上愛せないくらい先生を愛してたのかもしれない。
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