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不良が俺の食べかけのいちごパフェを乱暴に割る。
ガシャアッ…とグラスの砕ける音が店内に響き、客も店員も怯えて物陰に隠れた。
「ふひゃはは、この界隈じゃ俺はちょいと名が知れてるんだぜ。何たってあの"桐島純"を負かしたことがあるんだからな!」
一度も負けた記憶はございませんが!?
こんのホラ吹き野郎!!
俺が助けてやってもいいのだが、ツナギ男は相手の胸ぐらを掴んだ。
おお、やるね。
「この野郎…
食べ物を粗末にするなぁ!!!!」
………………
んえええ???
俺と不良が目が点になってることも構わずに、ツナギ男はぶるぶると怒りで体が戦慄いている。
「いいか。日本はな、前は食糧難だったんだ。満足に白いお米も食べられない…。
姉は妹に言う…
『ほら、芋をお食べ。』
妹は喜んで芋を食う。そしてふと思う。
『お姉ちゃんは?』
姉は答える。
『私はもう食べたから。』
しかし姉のお腹が鳴り、姉は恥ずかしそうに笑うのだった…。
ふっ、ふぐぅぅううう!!!!」
ツナギ男は泣き出した。貧乏物語コテコテの話を自ら語っておきながら。
んと………
ど、どうしよう。
帰っていいかな。
呆然とツナギ男の胸元を見ると、『橘要(たちばなかなめ)派遣社員』と名札がついていた。
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