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橘の話を聞いて、少々しんみりした様子の不良たちだったが、気を取り直して胸元を掴んでいた手を乱暴に払った。
「ばっかじゃねーのか。今時そんな過激な貧乏人いるわけねーだろ!」
「いいや、いる。俺とこの子がそうだ。」
お、俺も?
さっきいちごパフェ食べちゃったけど…
橘は鬼気迫る声で不良の肩を掴む。
「頼む…!あのパフェは、俺の三ヶ月分の給料なんだ!いつも真水しか飲んでいない妹に、少しでも、少しでも贅沢をざぜだぐで…!ぉおおふっ!」
目が真っ赤になり、涙が流れ落ちる。
真水しか飲んでいない俺が何でこんなに肌ツヤいいんだよ。
さすがにバレるのでは…と、思ったのだが。
あまりにも鬼気迫るその表情に、不良たちは後ずさっていった。
「ったく、何なんだよっ…ワケわかんねーよ!」
マ、マジか。
こいつ、不良を追い払いやがった。
橘は脱力したように近くの席に座った。
「ふぅ~、良かった良かった。」
「あの…大丈夫ですか?橘さん…」
「えぇ!?何で俺の名前を!?」
いや名札。
どんだけ隙あるんだよこいつ。
「あ、名札が…」
「あ、そっかそっかぁ。そう、俺、橘要。よろしくねー。」
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