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髪を銀に近い色に染め、赤いメッシュを入れ、ワイシャツは第三まで開け、中にゴツいシルバーアクセサリーを身につける。
たまにサングラスなんかもするな。
そんな、どこから見ても厳つい俺にはあるひとつの趣味がある。
決して人には言えない。
小さい頃から芽生えた俺のこの趣味。
絶対!絶対に誰にもバレるわけにはいかねえ!
喧嘩じゃ弱点の無い俺でも、この趣味がバレればかなり危ういことになるだろう。
チーム解散どころか、俺の人生が終わる。
「純さん!煙草っす!」
「お、おお。悪いな。」
考え事をしていた俺に煙草を出されたので、ライターに顔を近づけて火をつけた。
「くぅーっ!煙草吸う姿もシビれるっす!ワイルドっす!」
「馬鹿かおめーは。たかが煙草吸うだけだろうが。…ちょっくら寄るところがあるからよ、お前ら先に行け。」
俺がヒラヒラと手を振ると、弟分たちは素直に頷いた。
「分かりました!今日は、本当にありがとうございました!」
「ゆっくり休んでください!」
適当に相づちをうって、俺は近くの公衆トイレへ駆け込んだ。
「うぶぇーー!!!!ゲホゲホ、ブホォーーッ!!」
口に加えていた煙草をゴミ箱に捨てた。
「ゲホホ、は、肺に入った。くわえ煙草も気をつけないとな…」
煙草が吸えないわけじゃない。
吸わないことを決めたんだ。
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