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まぁいい。
相手が寝てようがいまいが、アレをとってくれればいいんだ。
「すまないが、足元に落ちているものを拾ってくれないか。」
「ん~?足元ぉ?……ああ、これかぁ。」
「そうだ、それだ。」
さっさと寄越せ。
「何だコレ?筆?」
…あまりじっくり見られると、ヤバい!!
「さっさと寄越せ。さもないと…」
「わーかった、分かったって。ちょっと待ってろよズボン穿くから。」
こいつズボン穿いたまま寝てたのか!?
うう、クソした後であれに触ってほしくないが…仕方ないだろう。
しばらく待っていると、扉の上から手が出てきた。
健康的な、若い男の手だ。
「ほい。」
「すまないな。」
「あ、ちょっと待って。」
まだ何かあるのか!?
「もし良かったら、何か食い物くれない?腹減って腹減って死にそうなんだよね。」
少しイライラした俺は、鞄からパンを取って個室に投げ込む。
「おっ、コッペパンかぁ!旨そうじゃん!」
「さっさとそれを寄越せ扉をぶち壊すぞ…!」
男は「怖い怖い」と呟いて俺に例のモノを渡した。
よし、後は帰るだけだな。
俺が踵を返すと、またもや呼び止められた。
「なぁ、お前名前は?」
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