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ダダダダダ!!!!
慌ただしく自分の部屋に帰ると、弟の由(ゆう)が既にスタンバっていた。
桐島由は、髪を染めてオールバックに固めている俺とは違い、黒髪の短い、普通の真面目な外見だ。
…中身を除けば。
「兄貴おっそい。さっさとしないと『花園ゆめめ』に先越されるぞ!」
「おおお、悪かった。」
「早く、服脱いで!」
「分かった。」
俺は服を脱ぎ、クローゼットを開けて次に着るべき服を取り出した。
「今日は…制服だな!」
「ほら、ウィッグ!……ああああダメだ、髪が絡まっちゃってる。」
な、何!?髪は…真っ直ぐじゃないとダメだ!
他のウィッグにするか?
しかし、制服にはワンレングスのウィッグと決めていたのだが…
仕方ない。
「由、今日は地毛でいく。」
俺はオールバックにしていた髪を前に持ってきて、セミロングに変えた。
「え、いいの?地毛だとバレる可能性があるって言ってただろ?」
「この際四の五の言ってられねぇだろ!大丈夫だ、誰もさっきの俺と結びつかねーよ。それより…」
俺は、弟の肩をガシッと掴んだ。
「ダメか?やっぱり、地毛だと俺はアウトか?」
男に見えてしまうだろうか。
そんな意味を込めて、由をじっと真剣な眼差しで見つめる。
何故か由は少し顔を赤くして、首を横に振った。
「い、イケるイケる!むしろ両側の赤いメッシュが個性と可愛さ引き出してる!」
そうか!
良かった。
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