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現在進行形で俺の目の前にトラックが迫ってくる。
ここではっきりと言っておくが俺は目の前で轢かれそうな子供がいようが自分から進んで死にに行くような自己犠牲の精神はあいにくと持ち合わせていない。
だけど世の中には殊勝な奴もいるようでこともあろうか俺を道路の方向に押しのけて子供を助けにいきやがった。
あぁ~あ、別に俺はだれにも迷惑かけてないし、悪いこともしてないつもりだったんだけどなぁ・・・
ほんと、ツイてないよな。
そう言えば、俺を押した人は罪に問われるのだろうか?
そんな余計なことを考えつつ、俺は最期の時を待つ。
この世に未練しかない俺だからであろうか、最期の瞬間が非常に長く感じる。
ポカンと空を見上げ、小さくつぶやく。
「こんど生まれ変わったら空、飛びたいな。」
瞬間、俺の体は浮き上がる。
初めは痛みを感じていたが、もう何も感じないし何も見えない。
何かに導かれるようにして俺の意識は深く深く落ちていく。
だけど、不思議とイヤな感じはしない。
もっと、生きたかったな~
そんな思いを最後に俺の意識はブラックアウトした。
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