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目が覚めて一番最初に見えたのは女性の顔のどアップ。
ええ、さすがにビビりましたとも。
とりあえず何か声を発しようとして気づく。
あれ?俺小さくなってね?
「リリーナ様、元気な女の子ですよ。」
元気な女の子?
いやいやいや、そんな人どこにいるんだよ?
ってか、この人たち日本語使ってるな・・・
「良かった、ほんとによかった・・・」
俺を優しく抱きしめながらリリーナと呼ばれた女性がそう漏らす。
ん~、そうか、俺は女の子なのか・・・
今更になって性別の指定をしなかったことに少し後悔しつつ、俺の母であろう人の本当に嬉しそうな笑顔がみれたことを神様に感謝する。
そんなことを考えていたらいきなりおおきな音を上げてドアが開く。
「どこじゃー!、俺の娘はどこじゃー!」
「だ、旦那様落ち着いてください。」
使用人と思わしき人が苦笑しながら男をなだめる。
「あなた、ここですよ。」
俺の頭上から綺麗な声が聞こえる。
「おぉ!その子か、なんとかわいらしい・・・」
親ばかですね、分かります。
まあ、男は普通に俺の父親らしい、くそ、イケメンか・・・
「さあ、あなた、名前を決めて。」
「うむ、そうだな、あかり、灯でどうだ?」
「ふふ、素敵な名前ね。」
自分の名前を褒められるのは単純に嬉しい。
俺はこの人たちのこと好きになれそうな気がする。
「だろう、今日からこの子は”如月 灯”だ。」
こうして俺はこの世に”きさらぎ あかり”として生を受けた。
願わくば、名の通り、この人たちの灯りになりたい。
そう、思えるような素晴らしい一日だった。
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