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「いや~灯は今日もかわいいな~。」
うん、ごめんね、相変わらず親バカなのこの人は・・・
でも、私も自分の容姿については自覚してる。
お母さん似の美少女・・・
まあ、この年で自覚してるのは元男だったからかな?
「あはは、お父さんありがと。」
私がそう言うとお父さんは頭をなでてくれる。
頭をなでられるのは好き。
そんでもって、実は私もお父さんのことが好きだったりする。
砕けた感じとか、気取ってないところとか、なにより優しいから好き。
「さて、サッサと終わらせて飯食いに行こう。」
貴族がそんなこと言っていいのかなと思うような事をさも当たり前のように言う。
「うん、いこいこ。」
思いながらもこう言ってしまうあたり私はやっぱりこの人の娘なんだなと感じる。
それが、やっぱり嬉しくてくすぐったい気持になる。
「んじゃ、この水晶に魔力流して。」
「えい!」
水晶に灯りがともる・・・がそれは色づくことなく終わった。
あれ?私属性ないんだ?
「ほぉ~、なかなかの魔力量、そして、珍しいことに属性なしっと。」
「気にしてないの?」
「ん?なにを?」
「私属性ないんだよ?」
不安そうな私の顔に気づいたのかお父さんは優しい笑みを浮かべて私を抱く。
「まあ、珍しいけど今までに前例がいくつもあるからな、気にしなくていい。」
「でも・・・」
「火の貴族なんてことはどうでもいいんだ、だって俺もとは平民だしな。」
いたずらっ子のような笑顔でそう言われてしまったら私は何も言い返せない。
「それに、魔法陣が使えれば魔法は使えるし、消費する魔力は格段に少なくなるから便利だぞ?」
すみません、それもう知ってます・・・
「ほんと、魔力を込めるだけで発動なんて便利だよなぁ~、いつでもどこでもご飯が作れる。」
この人の頭には娘のこととご飯のことしかないのだろうか?
「ってことで、気にしなくていいってことだな。」
「うん、お父さんがそう言うなら私は気にしない。」
やっぱり、この人には勝てないな、器が違うと思った瞬間だった。
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