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「もう犯人はいないと思うんですけどね土方さん…」
と燃えた家の奥の森に向かった男こそ沖田総司である。
そう呟きどんどん森の奥に歩いていく。
森は何も生き物が住んでいないかのように静かだ、燃えている家の上の空が赤く照らされているだけで、後は辺りが真っ暗だった。
「もう一君と土方さんも正直諦めてると思うんですが…」
沖田はこの行動に飽きて投げやりな態度になっている。
沖田は新選組局長近藤勇を尊敬している。
この事件のメンバーに選ばれた時はすごく嫌で土方に猛抗議をしたが、近藤に「いけ」と一言言われた途端態度を一辺し、了承したため今になって後悔し飽きてしまったのだ。
「えっ・・・?」
そう考えていた沖田はある光景を見て驚きの声を思わずこぼし目を見開く。
その光景とは
一人の少女というか女の子が切られた木の幹に座っている。女の子の着ている着物には人を斬ったからであろう返り血が沢山浴びていて真っ赤に染まっていて、女の子の目は死んだ人のように明るさを失っていて暗い。そして沖田が一番驚いたのが。
(この子槍を持っている…)
そう刀も持てなそうな子が槍を持っていて、槍の穂先には沢山の血がべっとりとついている。
(長州の奴らはこの子に殺られたのか…?けど刀も持てなそうなこの子が槍で?信じられない…)
その光景に信じられない沖田であったが、戸惑いながらも女の子に声を掛けた。
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