一つの事件から

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「あのっ?あなたどうかされましたか大丈夫ですか?」 「私を…殺して下さい…」 「えっ?」 沖田は女の子に声を掛けて返ってきた言葉に驚き、思わず驚きの声を零す。 女の子は体をガタガタと震わせ、何かに怯えているように見える。 そんな女の子の表情や体の震えを見た沖田は。 (まるで初めて人を切った時みたいですね・・・) 自分もそうだった。 江戸から京に上洛し、新選組と名乗られる前、壬生浪士組として活動し始め、そして初めて人を切った時、自分もこんなふうに切った人に一生怨まれて生きないといけないと思うと、凄い恐怖に捕らわれてしまい、体をガタガタと震わせ泣いたことを思い出した。 「なぜ君はそんなに殺してほしいのですか?」 「わからない・・・」 「わからない?」 「けど私は生きてはいけないと思うんです・・・」 自分が殺してほしい時は間違いなく何か理由があるはずだ。なのに理由もわからないまま殺してほしいとは、相当な何かがないと言えないはずだ。 沖田はそんな女の子に名前を訊ねる。 「君の名前はなんていう名前なんですか?」 「三雲・・・遥香」 「みぐも…はるかちゃん?」 と女の子は言うと張り詰めてた物が切れたように女の子の体が力をなくし、気を失い体を倒れるがその体を沖田は支えた。 そして女の子を優しく木の幹に寝かして、沖田は女の子をおぶって歩き始めた。 「この子が長州の奴らを殺したのですかね…?もしそうだったらこの子は相当な刀の実力を持っている。あっ刀じゃなくて槍か…」 女の子が持っていた槍は沖田が慎重に女の子をおぶりながら持っている 槍はよく見ると普通の槍より小さめであった (この子専用に作られた槍なのですかね?そしてこの子は記憶を失っている…) と色々考えながら沖田は燃えている家に向かい、女の子をおぶりながら歩いていく。
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