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それから2日後のこと。
この日は休みなので、和仁は私服でブラリと街に出た。
男性にしては珍しいが、和仁は雑貨屋などの店をまわるのが好きだった。
その理由は、入浴剤。
いろいろな入浴剤を見つけては、試す事が好きな和仁にとって
お宝探しみたいなものなのだ。
この日も、雑貨屋で珍しい入浴剤を見つけては買った和仁。
しばらく、見慣れた通りを歩いていたが
和仁は、急に立ちくらみがして、その場にしゃがんだ。
「ん…なんだ、急に…」
和仁が、顔をあげると……
そこは、先ほどまでの見慣れた街並みではなかった。
「…えっ!?なんだ!!?ここは一体…」
しゃがんだまま、戸惑う和仁の前に、一人の男性が歩いて来た。
「失礼、どうかなさいましたか?」
それは、落ち着いた大人の雰囲気が漂う30代か40代くらいの、黒髪を後ろに流した、スーツ姿の男性だった。
「あ…いや、その…」
「顔色がすぐれないようですね。よろしければ、私の店で、しばらく休まれてはいかがですか?」
その言葉に、和仁はゆっくりと立ち上がる。
なるほど、近くには雑貨屋のような店があった。
「よろしいんですか?」
「どうぞ、どうぞ。さぁ、ゆっくりと…」
男性に案内され、店に入る和仁。
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