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笑いながらそう言えば、僕の“爪牙”は怪訝そうな顔をした。
「僕が動くのは君の為だけ……誰かに従うなんて、あり得ないよ」
“醒めない夢”の為にすべてを捨てたことも含めてね、と言う僕の言葉に
あの頃より鋭さも柔らかさも増した真夜の瞳は、溢れんばかりに瞠られた。
そして、普通の人間の動体視力では追えない動きで
真夜は僕に彼女自身の身長くらいある棒を向けた。
「……アンタのその台詞は、俺への侮辱ととる」
静かな怒りを湛えた瞳が、僕を射ぬく。
「言っておくが、この杖(ジョウ)はただの木の棒じゃない。
甘く見ると痛い目に遭うぞ」
「知ってるよ。
大事な君の、
“煌”としての武器でしょ?」
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