もう一つの夢幻

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「……真夜、落ち着け。 ――その目で見て、 そして真実を確かめろ」 信じる信じないはそれから見極めろ、と 無音に近い小さな声で兄貴が言うから、俺は病室に入った。 兄貴が人払いをしてくれたらしく、俺の他にはベッドに横たわるアイツしか居ない。 「――なぁ……」 ベッドに横たわるアイツに話しかけながら、俺は、その傍に座る。 「お前、前に言ったよな……お前は俺の片翼で、俺はお前の爪牙だって。 鳥は両翼揃わなきゃ翔べないし、獣は爪牙が無きゃ飢え死にするって」 お前は飢え死にしたのか? だから俺は墜ちるのか? 解ってはいるのだ。 ――もう、アイツは居ないんだと。 .
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