14人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
「……真夜、落ち着け。
――その目で見て、
そして真実を確かめろ」
信じる信じないはそれから見極めろ、と
無音に近い小さな声で兄貴が言うから、俺は病室に入った。
兄貴が人払いをしてくれたらしく、俺の他にはベッドに横たわるアイツしか居ない。
「――なぁ……」
ベッドに横たわるアイツに話しかけながら、俺は、その傍に座る。
「お前、前に言ったよな……お前は俺の片翼で、俺はお前の爪牙だって。
鳥は両翼揃わなきゃ翔べないし、獣は爪牙が無きゃ飢え死にするって」
お前は飢え死にしたのか?
だから俺は墜ちるのか?
解ってはいるのだ。
――もう、アイツは居ないんだと。
.
最初のコメントを投稿しよう!