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「ごめんな、真夜……。
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僕等の夢を実現させる為には、こうするしかなかったんだ」
僕の目の前には、僕の大切な“爪牙”が僕の躯の傍に座って寝ている。
闇に溶けてしまいそうな、漆黒の短い髪。
白磁のような、真っ白な肌。
形の整った眉、長い睫。
白い瞼の下に蜂蜜を思い起こさせる澄んだ金色の瞳を秘めた、僕だけの“爪牙”。
その顔立ち、仕草、声音、恰好で少年と思われがちだが、
この子は歴とした女の子。
両親の顔を知らない彼女には兄が一人居て、それはそれは仲が良い。
現に今、彼女の兄が眠る彼女を背負おうとしている。
彼は知らない。真夜が輪廻に還ろうとしていることを。
彼女は知らない。僕が輪廻から外れたことを。
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