―1限目―

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キーンコーンカーンコーン... 本鈴のチャイムが鳴る。 それと同時に下駄箱で呟く者がひとり。 「あ~あ。本鈴なっちゃったよ…」 まあいっか、と思いながら上履きに履き替える。 本田奈美…とある高校に通う、高校3年生。 一応この学校の生徒だ。 留年し続け早2年目、今年で21になる。 来年もまた留年かなぁ~。 そう呟く奈美の背後から、大嫌いな声。 「…また遅刻かよォ~。いつまでこの学校にいるつもりだ? そんなに俺が恋しいかァ?」 「先生真面目に仕事して下さい」 この人はこの高校の保健の先生、前田翔。 私が転校してきた年に入ってきた、つまり四年目。 言ってしまうと変態な教師。 だがルックスは良いらしく、年齢を問わず女子にモテる。 ま、あたしは興味ないけど。 正直、ちょっとキテる人。 「今日もサボんだろ? 保健室のシーツ新しいから寝心地いいと思うぜェ? 俺と寝たらもっと…ておいおい」 奈美は一人で語る前田を無視し、スタスタと教室へと足をすすめた。
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