2つの決意、そして無力の罪

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そしてツカサはノートパソコンの電源を切りナズナを部屋から追い出すとベッドの上の通信端末を手に取り電話を掛けた。 相手はもちろん、リムだ。 『もしもし?』 「もしもしリム、久しぶりだな」 『うん、久しぶりー』 受話器から聞こえる昔から変わらない明るい声に、やっと妹の生存を知る事が出来る。 リムが家を出てからは彼女側から滅多に電話を掛けてこないので、生存と無事の確認を得る為に自分から週に3、4回は電話を掛け、妹の元気な声を聞いては安心していた。 「なあリム、お前隊長になったんだってな」 『うん、3日前に決まったんだよ?部屋も新しくなってさ、スゴいっしょ?』 「ああ、スゴすぎてついさっきカップ麺を床にブチ撒いたよ」 『あははははは!!ちゃんと掃除しなよ~?』 笑いながら机でも叩いているのか、リムの笑い声と共に固いモノを叩く音が耳に入っていく。 そこでツカサは、不思議に思った事を口に出した。 「にしてもさ、お前よく隊長になれたな。1年も仕事やってないのに。何か裏で支部長の弱味でも握ったのか?」 『そんな卑怯なマネしてないよ!!私の実力を知らない兄ちゃんには分からないだろうけど私は強いんだからね!!私が隊長に任命されたのは私の実力が認められたからだよ!!そこ、間違いないでよね!?』 からかわれて子供の様に怒るリムの声に、相変わらず元気に仕事をやっているのだと思い、微笑みを浮かべた。
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